2020/1/28付日本経済新聞 朝刊 Analysis プラットフォーマーと消費者(中)「ヤフー・LINE、価値創造を」 備忘録
東京理科大学の宮永博史教授のお話

この中の第2の論点「プラットフォーマーの覇権争い」がとても興味深い。マイクロソフトやGAFAに代表される米国系のグローバル企業を第一極、強大な国内市場をてこに成長著しいBATHと呼ばれる中国企業群を第二極と一般的には定義されているが、こんな大きな括りで議論することに落とし穴はないか?と疑問を呈している。そこで述べられたのが、プラットフォーム構造である。

一言で”プラットフォーム”と言っても、プラットフォームは上記のような「3次元のレイヤー構造」をしており、レイヤー間競争とレイヤー内競争の両方を理解する必要があるということ。(個人的に思うことは、レイヤー内競争に目が行きすぎている気がする。)
例えば、
○インテル⇒パソコンのCPUで部品レイヤーを抑えている
○英ARM⇒スマホのCPU
○ヤフーとLINEがターゲットとしている決済プラットフォームはアプリケーションレイヤー
ということで、一言でプラットフォームと言っても部品レイヤーとアプリケーションレイヤー(もちろんその他のレイヤーも)では全く違うということ。
アップルが主戦場としているのは端末レイヤー(もはやそうではない気もするが・・・)だが、そこを足掛かりにアップルストアでアプリケーションレイヤーに進出している。
amazonはサービスレイヤー中心であるが、様々なハードウェアで端末レイヤーに進出している。
アプリケーションレイヤーで優位であったとしても、別のレイヤー(例えば端末レイヤー)の主役が交代すると、一気に優位は崩れてしまう(例えば、PCからスマホに変わった時みたいに)。
GAFAはそこを理解して、様々なレイヤーで覇権の布石を打っていて、単純な第一極、第二極議論では抑えるべきポイントを見失うということが述べられていました。

そうか、そういうことか、と大いに納得。ここでは記載されていなかったが、スマホの次の10年の主役になると言われている「自動車を中心とした移動革命」でも、同じようなことが起きているという目で見ると面白く感じられます。トヨタがなぜソフトバンクと組んだのか、とかね。